大統領、非常事態宣言後初のマレーシア訪問
ミン・アウン・フライン大統領は10月7日、アンワル・イブラヒム首相の招請を受け、2日間の日程でマレーシアを訪問した。2021年の非常事態宣言以降、同国への訪問は初めて。マレーシアに滞在するミャンマー国民約5,000人の送還が主要議題となる。
アンワル首相が招請
AFP通信によると、ミン・アウン・フライン大統領は同日午後0時30分、クアラルンプール国際空港に到着した。大統領報道官は、訪問中の議題に自国民の「自発的で、尊厳と安全が確保された送還」に関する協議が含まれると説明した。マレーシア外務省は、同国に不法に滞在してきたあらゆる民族のミャンマー国民の安全な送還について、首相が協議すると発表した。ロイター通信によると、大統領は4月の就任後、ラオス、タイ、カンボジア、ベトナムを訪問しており、マレーシアは東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国で5カ国目の訪問先となる。
送還をめぐっては、首相が7月29日、ミャンマーが約5,000人の受け入れに同意したと発表した(ベルナマ通信)。第1段階では9月29日、ミャンマー政府が派遣した3隻の船で約1,500人が送還された(ロイター)。マレーシア政府報道官のファーミ・ファドジル通信相は9月30日、第2段階として3,524人の送還で合意済みで、ミャンマー側からの日程の連絡を待っていると述べた(ニュー・ストレーツ・タイムズ)。AFPによると、ミャンマー側は今週、1月以降の週ごとの航空便で、別に約8,000人を帰国させてきたことを明らかにした。
アンワル首相は9月16日、マレーシアは、ASEANに従っており、ミャンマーの新政権を承認していないとしたうえで、送還を協議する交渉相手は必要だと説明した(ロイター)。9月29日には、送還は押し返しではなく交渉の結果だとし、帰還者の安全の保証を求めるため大統領を招いたと述べた(ニュー・ストレーツ・タイムズ)。一方、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は、難民のミャンマーへの帰還は安全でないとの見解を示している(ロイター)。
今回の訪問は、経済協力ではなく、自国民の送還という実務課題を主題に実現した。マレーシアは新政権を承認していない立場を維持したまま公式招請に踏み切っており、承認問題と実務協議を切り分ける対応とみられる。送還の第2段階の日程と安全確保の具体策がどこまで詰まるか、またASEANの枠組みとの整合をどう保つかが問われる。
出典:AFP通信(2026年10月7日付)、ロイター通信(2026年9月16日付・9月30日付)、ベルナマ通信(2026年10月1日付)、ニュー・ストレーツ・タイムズ(2026年9月30日付)
© ミャンマー総合研究所