MYANMAR FOCUS
中央選管、登録61政党と会合 年末総選挙に向け準備進む
自由で公正な選挙に各国が注目
ミャンマーの選挙管理委員会(UEC)は27日、登録済みの61政党を招き、総選挙準備に関する会議を首都ネピドーで開いた。タン・ソー委員長は、全国規模の政党9党と州・地域に限定した52党の現状を報告し、候補者提出の際は定められた選挙区数と資格要件を順守するよう求めた。候補者は高等学校卒業以上が条件とされ、比例代表枠の名簿は優先順位をつけて提出しなければならないと説明した。
会議では、下院を小選挙区制、上院および州・地域議会を混合比例代表制とする選挙方式が説明され、電子投票機を用いて有権者が候補者と政党の双方に投票できる仕組みが採用されることも明らかになった。国外居住者や国内避難者は特別な申請書類(フォーム15)による投票が必要で、現住所での投票には180日以上の滞在証明が求められる。委員会は選挙妨害防止法の施行を強調し、自由かつ公正な投票を確保するための治安措置を整える方針を示した。
同日、首都ネピドーで開催された「優秀学生表彰式」でも選挙が取り上げられた。この式典は、学業成績や国家奉仕活動で顕著な成果を挙げた若者を顕彰する毎年の行事である。今年の式典にはソー・ウィン副総司令官が出席し、「選挙は民主国家建設の第一歩であり、有権者はこの機会を大切にすべきだ」と述べた。若者に対しては、投票の権利を理解し積極的に行使するよう訴え、教育と政治参加を結びつけるメッセージを発信した。
一方、少数民族地域の動きも注目される。ワ州を支配するワ州連合軍(UWSA)の政治部門であるワ州党は20日、タアン民族解放軍(TNLA)やミャンマー国民民主同盟軍(MNDAA)への軍事・財政支援を停止すると発表した。趙国安副主席は、中国が「戦争も騒乱もない」とする政策を掲げる中、支援を続ければ国境封鎖や資産凍結などの制裁を受ける可能性があると述べ、今回の決定が中国の意向を背景にしていることを明らかにした。
選挙管理委員会は18日、総選挙の日程を公表し、12月28日から翌年1月にかけて段階的に投票を行うと発表している。下院330議席は小選挙区制、上院110議席は小選挙区84と比例代表26、州・地域議会は322の小選挙区と42の比例区からなり、民族代表枠29も設けられている。
民族地域との協力を求める動きも進んでいる。シャン州首相ウ・アウンアウンは6日にワ州首都パンサンを訪れ、UWSA幹部と教育・医療インフラ支援や選挙協力を協議した。翌7日にはモンラーを支配する国家民主同盟軍(NDAA)の幹部と会談し、交通や公共福祉、経済協力のほか、選挙協力について意見を交わした。
国営紙「グローバル・ニュー・ライト・オブ・ミャンマー」は、選挙を「民主国家建設への第一歩」と位置づけ、自由で公正な選挙実施の重要性を繰り返し訴えている。8月24日の論説では、選挙の成功には全国的な平和と安定が不可欠だとし、これまでの和平交渉で合意された43項目を将来の連邦議会で検討すべきだと指摘した。
年末から年始にかけて行われる投票は、民族武装組織との関係、中国の影響、治安確保といった複数の要素に左右される。総選挙が予定通り実施され、自由で公正なものと評価されるかどうか、国内外の注目が集まっている。