202505.22
ニュース解説
  

憲法で国家防衛・安全保障評議会(NDSC)に選挙最終決定権

 ミャンマーの国家統治評議会(SAC)は、5月19日にネピドーで開催された会議で
、2008年憲法に基づき、国家防衛・安全保障評議会(NDSC)が選挙実施の最終決定
権を持つことを確認した。SAC議長であり首相のミン・アウン・フライン上級大将は
、多党制民主主義への移行を目指す方針を強調し、選挙は全国規模で実施されるべき
であると述べた。


 NDSCは、ミャンマーにおける選挙実施の最終決定権を持っており、25年末から26
年初頭にかけて総選挙を実施する計画が示されているものの、その具体的な実施時期
は、NDSCが正式に決定するまで確定しない。25年1月31日、NDSCは非常事態宣言を
さらに6か月延長し、その期限は同年7月31日となっている。憲法の規定により、非常
事態宣言終了後6か月以内に選挙を実施する必要があるため、NDSCは同年7月末まで
に選挙実施の決定を下す可能性が高い。
ミン・アウン・フライン氏は、選挙の実施に向けた準備を進めるよう指示し、選挙
は公正かつ透明に行われるべきであると強調した。各地域の行政機関の職員や公務員
には政治的中立を保つことが求められており、特に州・地域、地区、町、区、村の行
政機関の職員には、十分な資格を備えることが必要である。また、選挙管理委員会や
関係機関との連携を通じて、選挙の準備が進められているとされる。


 ミン・アウン・フライン氏は、教育分野での進展にも触れ、ポリテクニック大学の
設立が成功し、農業、畜産、工業分野での専門技術者育成が進んでいると報告した。
また、自然災害に対する政府の対応も説明され、以下の被害額と支援金額が示された。

自然災害支援策

災害名 被害額政府支援
サイクロン「モカ」2023年5月534.1億チャット73.8億チャット
台風「ヤギ」2024年9月466.2億チャット54.8億チャット
マンダレー地震2025年3月3,629.3億チャット復旧支援実施中

 農業分野では目標生産量の未達成により収入が8億米ドル減少し、目標が達成されて
いれば約140億米ドルの追加収入が見込まれたと説明。物価上昇対策として供給と需
要のバランス維持が求められている。ミン・アウン・フライン氏は、政府は国民に信
頼されるべき存在であり、「歴史に残る信頼される政府」を築くことが重要であると
述べた。SACは、選挙の実施を通じて国民の意思を反映し、国家の安定と発展を図る
方針である。
今回の会議には、SAC副議長で副首相のソー・ウィン副司令官、評議会幹事長アウ
ン・リン・ドゥエ、共同幹事長イェ・ウィン・ウー、各州・地域の首席大臣、連邦レ
ベルの要人らが出席した。

(25年5月20日 グローバル・ニュー・ライト・オブ・ミャンマー)
引用元:Constitution empowers NDSC with final say on elections