202508.20
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戦後GHQにより禁書とされた薩摩雄次の『南方の悲歌』を復刻・刊行しました

「南方の悲歌」復刻版刊行の経緯と意義

平素は格別のご高配を賜り、誠にありがとうございます。

 私事で恐縮ですが、このたび、戦後GHQにより禁書とされ、絶版となっておりました、薩摩雄次の『南方の悲歌』を復刻版として刊行しました。

 薩摩は私の遠戚にあたるだけでなく、拓殖大学の先輩として、日本ミャンマー協会前会長・故渡邉秀央の生涯に深く関わっております。復刊にあたって、前会長と薩摩との関わりを振り返りました(本書「解題」に記述)。こうした繋がりを踏まえ、刊行し、皆様へお知らせするものです。

 原著は、英・欧植民地下における南アジアの国々の独立、民族運動の歴史と、その深い苦悩や祈りを記録した貴重な証言であり、当時の社会状況を知る上で欠かせない資料です。

 それ以上に、薩摩の筆から紡ぎ出されるアジアの人々への温かい視線と熱い想いを感じ、薩摩と同様に、父がアジアの人々に寄せた深い共感や言葉を思い出す時、改めて、両者の血を受け継ぐ者として、平和への祈念と記憶の継承を強く決意するものです。

 復刊にあたっては、前会長の古くからの友人であり、私も学生時代からご指導いただいた弁護士三宅弘先生のお力添えを得て、原著の文面や構成を尊重しつつ、読みやすさを考慮した注釈や解説を加え、現代の読者にも理解しやすい形に整えました。

ご興味のある方は、個別にご連絡いただければ、対応させていただきます。

末筆ではございますが、今後とも変わらぬご厚誼を賜りますようお願い申し上げます。

2025年8月

日本ミャンマー協会代表理事 渡邉祐介