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ミャンマー総選挙準備進む 段階実施と電子投票導入に注目
ミャンマー連邦選挙管理委員会(UEC)はこのほど、12月28日から投票が始まる複数政党制民主総選挙に向けた準備状況を明らかにした。
自由で公正な選挙実施を掲げ、有権者名簿の整備、候補者登録、選挙運動期間の設定、段階的な投票実施、さらには電子投票機(MEVM)の導入などが着実に進められているという。
有権者名簿は、内務省および移民・人口省の人口データを基に作成され、全国で二度の掲示機会が設けられた。UECは、有権者による確認と訂正申請を促し、名簿の正確性を高めていると説明する。ただし、地域ごとの掲示実態や訂正手続きのアクセスしやすさは、引き続き検証が必要だ。
政党登録数は57党に達し、全国規模で活動する6党と州・管区単位の51党が認められた。選挙運動期間は10月28日から12月26日までと定められ、政党・候補者の活動枠組みは制度上整っている。しかし、全国政党と地域政党間の実質的な条件格差がないか、現場での確認が求められる。
候補者登録では、5,023人の申請に対し審査を経て4,929人が承認された。審査は2008年憲法と関連選挙法に基づくとするが、不承認となった候補者の理由や基準の統一性は、選挙の信頼性評価で重要なポイントとなる。
今回の選挙の特徴は、三段階での実施だ。フェーズIとIIの対象地域は既に公表されており、治安上の理由から121選挙区では投票が見送られる。段階実施は治安・行政面の制約を考慮した措置とされるが、結果確定のタイミングや政治的正当性への影響は慎重に分析すべきだ。
また、投票日にMEVMを導入する点も関心を集めている。UECは啓発活動や試行投票を進めてきたと主張するが、機器の技術的信頼性、投票の秘密保持、紙投票との併用が集計に及ぼす影響などは、国内外で議論の的となっている。
制度面の枠組みだけを見れば、選挙準備は一定の進展を見せていると言える。しかし、真の評価は制度の運用実態と、有権者・候補者の実効的な参加にかかっている。段階実施の実行、未実施地域の対応、電子投票の透明性などが、選挙全体の信頼性を決める鍵となるだろう。