【政治・軍事】ミン・アウン・フライン氏の大統領選出が濃厚
国軍最高司令官・副司令官人事も発令
■副大統領3名が確定、大統領選出投票へ
ミャンマー連邦議会(ピダウンス・フルッター)は3月31日、3グループがそれぞれ選出した副大統領候補3名を正式に確定した。新華社(Xinhua)ミャンマー版の報道によれば、軍人枠議員グループはウー・ニョー・ソー氏(U Nyo Saw、現首相・元大将)を副大統領に選出した。これにより、下院グループ選出のミン・アウン・フライン氏(賛成247票・反対10票)、上院グループ選出のナン・ニ・ニ・アイェー氏(USDP・カレン州選出)と合わせ、副大統領3名が出揃った。
ナン・ニ・ニ・アイェー氏はミャンマー史上初の女性副大統領候補となった。ニョー・ソー氏については、事前からミン・アウン・フライン氏の副大統領候補として有力視されていたと、独立系メディアのMyanmar Nowが伝えていた。
次の段階として、連邦議会の合同会議(ピダウンス・フルッター)において586名の全議員が投票し、最多票を得た者が大統領、残る2名が第1・第2副大統領に就任する。議員の約90%が親軍政党または現役軍人であることから、ミン・アウン・フライン氏の大統領当選はほぼ確実とみられる。大統領選出投票の日程はまだ発表されていない。
■国軍新指導部が出揃う
MITVおよびMRTVが3月31日付で報じた引継式の公式記録により、3月30日付の国軍幹部人事が正式に確認された。各ポストは以下の通りである。
【最高司令官(国防軍総司令官)】ミン・アウン・フライン前上級大将の退任に伴い、イェー・ウィン・ウー大将(Ye Win Oo、60歳)が新最高司令官に就任した。同大将は元国軍軍事情報部長(参謀本部軍事保安局長)で、ミン・アウン・フライン前上級大将の最側近として知られる。士官候補生学校(OTS)第77期卒業で、防衛大学校(DSA)出身者が主流を占める国軍指導部にあっては異色の経歴を持つ。引継式においてイェー・ウィン・ウー大将は「2008年憲法を引き続き守護し、国家主権の維持に忠実に任務を果たす」と述べた。
【副最高司令官(兼陸軍総司令官)】MITVの引継式報道によれば、退役するソー・ウィン副上級大将(Soe Win、66歳、DSA第22期)から、前統合参謀長のチョー・スワー・リン大将(Kyaw Swar Lin、54歳、DSA第35期)への辞令書が軍職務任命総長(ティン・ウィン中将)より読み上げられ、副最高司令官の儀礼剣と副司令官旗がチョー・スワー・リン大将に手渡された。同大将はミャンマー軍現代史上最年少で中将に昇進した俊英として知られる。
【ソー・ウィン副司令官は退任】ソー・ウィン副上級大将は2011年以来15年間にわたって副司令官の座にあり、3月30日付で退役した。退役式でのあいさつにおいて同副上級大将は「タッマドーは個人に先立つ」と述べ、組織の継続性を強調した。退役後は連邦顧問評議会(Union Consultative Council)への移行が有力視されている。
【統合参謀長(陸海空)】チョー・スワー・リン大将の副最高司令官昇格に伴い、統合参謀長にはコー・コー・ウー中将(Ko Ko Oo、53歳、DSA第38期)が就任した。One News MyanmarおよびMITVの引継式報道で確認されている。同中将は直前まで特殊作戦局(BSO)第1局長を務めていた。
■連邦顧問評議会がカギに
2008年憲法の規定上、大統領は現役軍人を兼任できないため、ミン・アウン・フライン氏は3月30日付で最高司令官を辞任した上で大統領候補として指名されている。連邦顧問評議会(UCC)の議長ポストも新設される見込みであり、ミン・アウン・フライン氏が大統領職に加えて同評議会を通じ安全保障・外交政策に影響力を維持するとの見方が有力である。4月上旬にも新政権が発足する見通し。
今回の政権移行の前提となった総選挙は2025年12月28日から2026年1月25日にかけて3段階で実施され、国軍系の連邦団結発展党(USDP)が上下院合わせて339議席を獲得した。