202606.14
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変わるミャンマー・ロシア関係

経済安全保障型の包括協力へ

 2026年6月上旬、ミャンマーとロシアの関係が幅広い分野で動いた。副大統領ウ・ニョー・ソーが第29回サンクトペテルブルク国際経済フォーラム(SPIEF、6月3~6日)に代表団を率いて出席し、6月4日の開会式で演説を行った。電力・エネルギー相と労働相がそれぞれロシア側と協議を重ね、5月末にはモスクワで情報安全保障分野の覚書が締結された。両国の貿易額は2024年末時点で約20億ドルに達し(前年比40%増)、ロシアはミャンマーの石油市場の9割超を供給している。

エネルギー 電力整備・燃料供給・ダウェー開発

 One News Myanmar(6月9日付)によると、電力・エネルギー相ウ・コー・コー・ルインは6月4日、SPIEF会場(サンクトペテルブルク・EXPOFORUMコンベンション・センター)でTelematic Solution社のウラジーミル・パルシン最高経営責任者と会談した。ロシア独自技術によるデジタルメーター検針・スマートメーター課金システムのミャンマーへの導入について意見交換し、投資・技術移転の可能性が確認された。続いて6月7日には、同相率いる代表団がモスクワにある同社製造工場を視察し、既存システムとの統合・高度化を協議した。

 同行程では、電力大手Inter RAOがガス火力発電用タービンの修復・効率改善について説明し、修理技術習得・人材育成を含む調査への協力が求められた。同相は4月16~18日にも訪露しており、電力・エネルギー省とRC-Investmentsが原油・LNG・LPG・肥料の長期供給に関する協力覚書を締結している。

 ミャンマー国営メディアによると、6月5日にInter RAOとミャンマー企業ラウンロン・エコノミック・デベロップメント・カンパニー・リミテッドの間で、ダウェー深海港における発電所建設に関する覚書が締結された。ミャンマー政府関係省庁とRC-Investmentsとの間でも協力文書が交わされた。ダウェーをめぐる協議は、2025年2月のレシェトニコフ経済発展相訪缅(石炭火力·製油所·港湾の覚書)、同年SPIEFでの投資保護協定、今年4月のLNGターミナル・製油所・タービン改修の協議と積み重ねられてきた。

ロシア向け人材派遣 制度設計が前進

グローバル・ニューライト・オブミャンマー(GNLM)によると、6月8日、労働相ウ・キン・マウン・ソーはロシア連邦タタールスタン共和国のアラブガ経済特区(Alabuga SEZ)代表コンスタンチン・トリフォノフ氏と会談した。工業・建設分野でのミャンマー人材の採用・労働条件・覚書について協議が行われた。アラブガ経済特区は無人機製造拠点として知られており、5月のカザン経済フォーラムでも同議題が取り上げられていた。

情報安全保障 共同センター設置へ

 ミャンマー大統領府省によると、大統領府相ウ・ティン・アウン・サンはショイグ・ロシア安全保障会議書記の招待を受け、5月25~31日にモスクワを訪問した。代表団は第1回国際安全保障フォーラム(5月26日)、第6回ASEAN・ロシア安全保障高官協議(5月27日)、第14回国際安全保障高官会議(5月28日)に出席した。

 訪問期間中、「共同情報セキュリティセンター設置に関する覚書」と「ミャンマー・ロシア間の国際情報セキュリティ協力実施計画(2026~2029年)」が締結された。技術移転・情報共有・専門人材の交流を含む内容とされる。5月28~29日には外務省・情報省間のメディア協力協議も行われ、パブリック・ディプロマシー・報道交流・先端技術を用いた偽情報対応が議題となった。会議の傍らで、インドの国家安全保障顧問アジット・ドーバル氏も同相と個別会談を持ち、安全保障・防衛・地域連結性における協力を確認した。

デジタル・制度連携 独自OS・AI・ユーラシア経済圏

 5月下旬、科学技術相ウ・ミョー・テイン・チョーがニジニ・ノヴゴロドで開催された「Digitalization of Industrial Russia 2026」(第11回)に参加した。ロシア側はAI・バイオインフォマティクス・都市管理用デジタルツイン・独自OSを紹介し、ミャンマー側はロシアのAstra GroupとのOS・ソフトウェア自国開発支援について協議した。カザンでの協議ではSberbankとも送金システム・AI・サイバーセキュリティについて意見交換が行われた。ロシア通信情報工科大学とネピドー州立工科大学の間では人材育成・研究協力に関する覚書が検討されている。

 GNLMの6月2日付報道によると、ミャンマーとユーラシア経済委員会(EEC)の共同作業部会会合が開催され、第3回会合の開催とASEAN枠組みを活用した協力拡大について協議された。EECはロシア・ベラルーシ・カザフスタン・アルメニア・キルギスで構成される。

資源・宇宙・防衛 大型案件は中長期

 Irrawaddy(6月5日付)は、東部シャン州モントン郡区のLoi Khi Lek山(標高1,970メートル、タイ国境から約20キロ)北斜面で、ロシア系事業者がタングステン採掘に向けた準備を進めていると報じた。情報源はShan Human Rights Foundation(SHRF)の報告書であり、2025年5月に調査団が軍・警察・地元民兵の警護のもと現地入りし、2026年1月に採掘許可の取得を住民に説明したとされる。同山の南斜面では中国系企業がワ州連合軍(UWSA)と連携して2026年2月から採掘を開始している。

 2025年3月4日の首脳会談(クレムリン)でRosatom製55MW級原子炉2基(合計110MW)のSMR建設に関する政府間合意が締結された。同会談ではRoscosmos・科技省間の宇宙MOU、RK-Investment・MONREC間の鉱物資源協力覚書も署名された。宇宙分野では2026年2月のショイグ書記の訪缅時に、ミャンマー初の宇宙飛行士候補の選抜·訓練支援と衛星測位システムGLONASSのデータ収集施設設置が合意された。防衛分野では同訪問を機に2030年までを対象とする5年間の協力協定が締結されたとAFPが伝えた。