日本ミャンマー協会会長ご挨拶

一般社団法人 日本ミャンマー協会
会長 渡邉 秀央


  日本とミャンマーとの関係は、戦前、戦中、戦後を通じ、緊密な関係にありました。それは、第一に、ミャンマーの人々の人柄と優しさと、仏教国としての共通の価値観がミャンマーに係わってきた多くの私達日本人に理解され、信頼性を構築し、魅力的な関係が醸成され、自然発生的な親ミャンマー、親日観ができて両国の国民観に定着してきたという事実がその背景にあったからだと思います。


1948年にイギリスから独立したミャンマーは東南アジアの他国に先駆けて、いち早く日本に対して戦後賠償を放棄し、且つ敗戦後の食糧難に対して食糧支援等を行い、そして平和条約、賠償経済協力協定を結び、戦後日本の復興に尽くしていただきました。以来、日本はミャンマーに対する支援を続けてまいりましたが、1988年に大規模デモから内乱が拡大し、国内治安安定のためやむをえず軍政になって以来、ミャンマーに対する制裁措置が取られたため、アジア各国中屈指の援助協力関係を続けて来た日本も、援助・協力を事実上停止したことと同然の実体となり、その後は、草の根支援などの人道支援に限っての協力で、細々とした友好関係を維持してまいりました。
 当時、私は、中曽根内閣の官房副長官として、マウン・マウンカ首相を日本にお招きし、支援のための策定に携わった一人でありました。
 以来、中曽根元総理大臣よりも、日本とミャンマーとの関係を大切にして両国の信頼と人間関係を構築して行くのは「若い君の役割である」とのご指導のお言葉と励ましのもと、微力を尽くして努力いたして参りましたが、事実上の両国の正常な外交関係とは言えない体制の中で思うに任せず、忸怩たる思いで歳月が過ぎた次第であります。
 しかし、その間ヤンゴン空港の改修、バルーチャン水力発電所の送電線設備の補修、JICA病院の医療機器の修復、B型肝炎対策での献血車の提供等のできうるだけの小さな努力は続けて参りました。この間に東シャン州の看護士病院の建設による不足医療機器の提供のためにチャイントンを訪れた私を空港に出迎えてくれたのが、シャン州軍管区司令官のテイン・セイン中将でありました。二人の友情と信頼のスタートでした。
 その後、2008年には、その年の4月のサイクロン・ナルギスで有史以来の多大な被害を受けたミャンマーにお見舞を申し上げるため訪問し、首相に就任されていたテイン・セイン氏と面談した折に、あらためて私から5月に新憲法の是非を問う国民投票が実施されたことに敬意を表しましたが、その時、私はミャンマー国内において民主化に向けたプロセスが確実に進行しているとの確信を得るに至りました。
 以来、たびたびのミャンマー訪問で、この20数年の空白を埋めるべく、日本の協力支援について、テイン・セイン首相(当時)をはじめ当時の政府首脳の多くと話し合いを続けてまいりました。
 私は、このような交流を通じての信頼関係の構築に努め、今さらの感ではありますが、ミャンマーの国民をはじめ政府に携われている人達のミャンマーから日本への信頼と、日本からミャンマーへの期待を大きく熱く感じつつ、今後将来の我が国にとってもミャンマー国との関係は、一層重要であることも、痛感致してきたところであります。

 そして、2011年、民主的な総選挙を経て、新政権となり国内体制は政党政治として第一歩を踏み出しました。政治犯の釈放、大統領とアウン・サン・スーチー氏との対話でみられる如く国民和解が実現に向かい、少数民族との和解も確立しつつあります。更に海外に門戸を開き、日本とも2011年11月ジャカルタにおいて野田首相とテイン・セイン大統領の首脳同士の対話が初めて行われ、2012年4月にはテイン・セイン大統領の訪日が実現し、2013年1月には麻生副総理、2013年5月には安倍総理のミャンマー訪問が行われ、2013年12月にはテイン・セイン大統領の2度目の訪日が行われ、まさに新生ミャンマーとして、日本との友好関係が実証的に、着実に前進してきているところです。それ以来、政府間の折衝、民間企業の訪緬が続き、より深い交流が活発になってきているところです。 日本政府は、ODAの再開、ミャンマー経済の牽引車的役割として期待されているヤンゴン近郊のティラワ経済特区の開発への協力を実行するなど、積極的に同国の経済発展に取り組む姿勢を表明して、その実現のために種々なる具体的約束を実行してきております。

 かような時期にミャンマーとの窓口として、民間の立場で対応できる一般社団法人「日本ミャンマー協会」を2012年3月に正式発足いたしました。これも皆様との価値観の共有の賜物と心より敬意を表する次第です。  「日本ミャンマー協会」は両国関係の多岐にわたる分野において着実に交流を発展させていくために、民間の投資、貿易の拡大、技術協力・支援など経済発展、加えてウィンウィンの戦略的関係の構築を実現するために、民間の一組織として、重要な役割を果たしていかなければならないと考えます。
 ミャンマーでは2016 年3 月にN L D 新政権が発足しましたが、まさに、未来志向の日本とミャンマーの緊密な信頼関係は21世紀に生存している我々と当協会の責任として発展させていかなければならないと確信します。
徒に私利私欲、権力欲の中からの発想ではなく、真に両国国民の今後100年の大計と将来の為、その絆がアジアの平和と繁栄に欠くことができない要件であることを確実視して、自信と責任を持って、日本とミャンマーのため、引き続き様々な活動に邁進して参ります。また、皆様の共鳴と共感のもと多くの会員の皆様に参加していただく努力をして参りますので、何卒ご指導、ご鞭撻、ご支援を賜りますようお願い申し上げます。

top