202610.01
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大統領、今月マレーシア訪問へ

 マレーシア国営ベルナマ通信は9月30日、ミャンマーのミン・アウン・フライン大統領が10月にマレーシアを訪問する見通しだと報じた。ファーミ・ファジル通信相(政府報道官)が閣議後の記者会見で明らかにしたもので、大統領はアンワル首相と協議するという。マレーシアは9月29日に1,476人をミャンマーへ送還したばかりで、訪問の形態や日程、ミャンマー側の正式発表は10月1日時点で確認できていない。

公式訪問の可能性

 ファーミ通信相は9月30日、10月にエジプトのシシ大統領とミャンマーのミン・アウン・フライン大統領を含む複数の外国首脳が、公式訪問、実務訪問または国賓訪問のいずれかの形で来訪すると述べた(ベルナマ、ザ・エッジ・マレーシア)。シシ大統領は10月9日に到着する見通しだが、ミャンマー大統領の到着日は示されなかった。

 通信相は、訪問日程の詳細は首相府または外務省が発表すると説明した。ミャンマー大統領の訪問が公式訪問か実務訪問かといった形態も、確認できた範囲では示されていない。

 アンワル首相は9月16日、ベルナマが報じた動画番組での発言で、ミン・アウン・フライン大統領に公式訪問を招請する考えを示していた。首相は、友好や貿易は進められるとしたうえで、ミャンマー側が自国民を受け入れることが前提だと述べ、20万人を一度に帰国させられないなら段階的に受け入れるよう求める考えを語った。

送還がきっかけ

 アンワル首相は7月29日、ミャンマー側がマレーシアに収容されている約5,000人の帰国受け入れに同意したと明らかにした(ベルナマ)。対象者の名簿は、ミャンマー側が8月13日付の外交公文書でマレーシア外務省に提出したと、ファーミ通信相は説明している。

 第1段階は9月29日、ペラ州のルムット海軍基地で実施された。1,476人が、ミャンマー海軍の艦船3隻(病院船を含む)に分乗して出発した(ベルナマ)。

 マレーシア内務省によると、入管収容施設にいるミャンマー国民は8月15日時点で10,388人で(AP)、今回の5,000人はその約半数に当たる。UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)の統計では、マレーシアにはミャンマー出身の難民が193,824人おり、うちロヒンギャが126,144人を占める(マレーシアキニ)。

 ファーミ通信相は9月30日、第2段階として3,524人の送還が承認されたと述べた。実施日はミャンマー側からの通知を待っており、内務省と外務省が調整するという(ベルナマ、ザ・エッジ・マレーシア)。

双方の説明にズレも

 マレーシア内務省は、送還は自発的に、安全かつ責任をもって、ミャンマー政府と合意した手続きに基づいて行うと説明している(ベルナマ、9月29日)。ファーミ通信相は8月に、迫害や生命の危険がある人は送還しないと述べていた。アンワル首相は9月29日、国民の安全と利益を優先し、法と人道的価値に基づいて対応するとフェイスブックに投稿した。

 アンワル首相は9月16日、ミャンマー側に求めた条件として、殺害の停止とラカイン州への爆撃の停止、医療施設へのアクセス提供を挙げ、いずれも交渉で受け入れられたと述べた。ミャンマー側がこれらの条件に言及した発表は、確認できていない。

 ミャンマー外務省は9月、各国と協力し、確認された避難民の自発的帰還を安全と尊厳をもって促進していると、国営メディアを通じて述べた(ロイター報道)。外務省のハン・ウィン・アウン氏は、今回の計画は2021年と2022年に1,100人超の国民を受け入れた先例に沿うものだとAPに語った。

UNHCRの懸念

 UNHCRは9月30日、1,476人の送還に懸念を表明した。ウォソルヌ保護担当高等弁務官補は、当局は自発的な帰還だと説明しているが、送還された人々は入管収容下にあり、UNHCRは自発性を評価するための接触ができなかったと述べた。

 UNHCRは、庇護と移民の管理がマレーシアの主権的責任であることは認めたうえで、個別審査と保護手続きへのアクセスを求め、帰還の意思は収容施設の外で確認されるべきだとした。UNHCRは9月初めの時点で、本計画に関与していないとも表明していた。AFPによると、160を超える市民団体もマレーシアに送還の停止を求めた。

(主任研究員 宮野弘之)

注 本稿は2026年10月1日時点で確認できた報道に基づく。訪問の形態・日程は未発表であり、発表後に更新する。